


岡田舞子
<Retina #4>
Year:2021-2024
Inkjet print
297×198mm
ED:1/10 (+2AP)
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18歳の頃、地元で地震が発生し、その影響で1週間ほど停電が続いた。夜は街中の灯りがないためか 見たこともないほどの美しい星空が広がっているのが見えた。しかし、同時にその闇に包まれた街並みは、 私にとっての安定を一変させた。光がなければ私は何もすることができなかった。この時から私は人工的な 光に対して関心を持ち、同時に安らぎとも呼べる感情を抱くようになったのかもしれない。
飛行機や電車の中から見る都市の輝きや夜の住居の窓辺の光を観察する。その中には目には見えない 人々の営みが垣間見える。私はこれらの人工的な光を、人の細胞の一部として捉えてきた。その光の側 面を具体化するためカメラのセンサーを使用した。頭部にヘッドライトを装着し、その光をガラス越しにセン サーに向けた。このプロセスによって記録される光の屈折は浮遊するイメージとして書き出される。
センサーが作り出した像はまるで新たな眼として機能し、頭部に装着したヘッドライトは私の手のように光を 描き出す手段として作用した。